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月次サマリー

2026年8月
月次サマリー

トピック・制度動向・市況・料金競合

速報版|2026年8月28日公表データ時点 記事・制度:8月1〜28日 / JEPX:8月29日受渡分まで
電力事業ナビ denryoku.jp

経営要約

電源・長期kWh・系統原価を同時に再設計

足元の点灯帯・地域リスクを、長期調達と料金転嫁まで一体で管理する局面に入った。

AI・データセンター需要を起点に、供給力を増やす政策方向は明確になった。一方、制度は未確定要素が多く、市場では「売り物不足」と30分値差が残る。

01調達 大規模発電の10%供出案が具体化。 小売の確保率とは別制度で、希望エリア・商品・流動性を保証するものではない。
02供給力 458万kWを全量落札しても信頼度目標を未達。 価格より「追加で調達できる電源がない」ことが制約。予備電源・補完オークションへ対応が広がる。
03原価・競争 炭素・託送・容量のコスト転嫁が具体化。 8月使用分は支援最大だが、10月請求は反発。競争軸は単価から需要調整(DR)・経済圏・リスク配分へ。

重要数値

8月の重要数値を、ニュース・制度・市場・料金で横断

単独の指標ではなく、供給力不足 → 市場上振れ → 原価・料金への伝播として読む。

108件8月トピック市場30/アセット30/技術26/制度16/小売6
19.12円JEPXシステム平均1kWh当たり。7月比 +6.8%。8月29日受渡分まで。
0.088供給不足期待量(EUE)目標0.059を未達。追加応札は100%落札。
4.5円8月使用分・低圧支援1kWh当たり。7月/9月は3.5円。使用月基準。
22.4%新電力・販売電力量2026年5月、前年比 +2.2ポイント。
+1.12円中国電力NW・低圧託送1kWh当たり。11月1日から。高圧 +0.34円、特高 +0.36円。

月間タイムライン

制度設計から料金反映まで、8月後半に論点が集中

8月21〜28日に、炭素・系統・非化石・料金の公表が重なった。

8月3日中長期取引市場大規模発電の供出総量10%案、エリア指定入札などを提示
8月6日容量追加オークション457.9万kWを10,361円/kWで全量落札。それでも供給不足期待量(EUE)は目標未達
8月19日予備電源東100万kW・西68万kWの第3回募集を開始
8月21日市場・系統GX-ETS未整理でベースロード市場(BL市場)第1回中止/特別高圧の太陽光・蓄電池に系統事故時運転継続要件(FRT)案
8月24日託送・需給中国電力ネットワークが11月改定を届出/冬季を見据え補完オークション案
8月26日POWERR GXAI・データセンター需要を起点に、燃料・ガスタービン・原子力・再エネ・系統を統合
8月27〜28日原価・競争収入上限審査、非化石価値、10月請求、5月競争統計を公表
出典:METI / OCCTO / JEPX / 電力・ガス取引監視等委員会04

注目トピック

108件のニュースは、3つの構造変化へ集約できる

市場・アセット・技術が全体の80%を占め、実装と投資の論点が前面に出た。

8月トピックの内訳

3つの構造変化

01成長需要 → 供給拡大

AI・DC需要を起点に、燃料・ガスタービン・原子力・再エネ・系統を一体化。

02長期調達 → 制度化

10%供出案と容量不足が並行。数量だけでなく、エリア・商品・信用枠が重要。

03コスト → 実装

託送・GX-ETS・FRT・出力制御を、価格条項と案件の投資収益率(IRR)へ落とす段階。

注目トピック

ニュースの焦点は、需要・運用・蓄電・統制へ

設備だけでなく、運用データと市場最適化ソフトが競争力を左右し始めた。

日付テーマ主な動き実務への示唆
8月27日AI/データセンター大田区で液冷コンテナ型データセンター送配電の保有地・受電設備を需要開発へ転換
8月20日運用ソフト三菱電機がPCI Energy Solutionsを14億ドルで買収機器+需給・取引・精算ソフトへ事業領域を拡張
8月2日蓄電池49.7MW/202.1MWhで20年トーリング資産保有と運用権を分離する投資モデルが拡大
8月19日原子力島根2号機が追加点検後に発電再開供給力寄与と設備信頼性の両面を継続監視
8月3日データ統制東電PGの公開系統情報6,552カ所に誤り接続可否等の影響なしでも、原本性・検証統制が課題
8月21日系統要件特高太陽光・蓄電池のFRT強化案2028年4月を見据え、パワーコンディショナー(PCS)仕様・試験費をIRRへ反映
出典:電力事業ナビ Topics / 東電PG・NTT / 三菱電機 / OCCTO06

制度動向|提案段階

10%供出案は、長期調達の「入口」であって調達保証ではない

供出総量・対象者は具体化したが、商品配分・エリア・価格規律は未決。

年間需要推定の合計 × 10% を、市場供出総量とする事務局案

01需要推定

小売の年間需要
送電端ベース

02対象発電

原則500万kW以上
候補12者・供給力71.4%

03商品設計

3年前/1年前
ベース・ミドル・燃調

04小売調達

エリア・シェイプ・
信用枠別に選択

誤解しない3点

1. 10%は市場全体の供出総量。各小売が10%を確保できる保証ではない。

2. 適正価格で出し続けた売れ残りも、義務履行量に算入する案。

3. N-3/N-1配分、商品別最低量、エリア設計、価格監視は未決。

実務:年度 × エリア × シェイプ × 燃調 × 信用枠の調達台帳を、N-3から整備する。

制度動向

全量落札でも不足──「追加で買える電源」が制約

2027年度追加オークション後も、全国・北海道とも供給信頼度目標を未達。

457.9万kW

追加オークション約定容量

10,361円/kW|応札・落札率100%|約定総額425.1億円

EUE(kWh/kW・年)

北海道 0.265

不足エリアだが、追加可能な応札電源がなく処理終了。

予備電源 168万kW

8月19日から東100万・西68万kWを募集、締切9月15日。

補完オークション案

2027年1月前半の西日本など予備率2.3%見通しへ追加策。

制度動向

炭素・系統・容量のコストが、卸と料金へ同時に波及

確定単価だけでなく、提案段階の感応度を2027〜30年度原価へ入れる。

コスト要素状態8月の数値実務への伝播
GX-ETS提案1,700〜4,300円/t前年度末(N-1年度末)の見積もりを当年度卸・規制料金へ反映する案。実績差額等は未決。
ベースロード市場中止8月31日実施予定の第1回GX-ETSの取扱い未整理を理由に8月21日中止。代替調達を確認。
収入上限審査期中調整申請 +8,844億円一般送配電8社計・承認前。監視委は問題なし回答、経産相承認・最終単価は未了。
中国電力NW託送確定低圧 +1.12円/kWh11月1日実施。高圧 +0.34、特高 +0.36。見積・通知を更新。
容量拠出金試算1兆2,508.8億円2027年度小売負担見込み。最終請求額ではないが予算感応度に反映。
原価モデルは「容量+託送+炭素+調達」の4層で、年度・エリア・電圧別に更新する。

制度動向

確定は実装、提案はシナリオ管理

ステータスを混ぜると、見積・契約・投資判断を誤る。

確定・公表済み

9月1日需給調整市場の上限15 → 10円/ΔkW・30分
9月15日予備電源 第3回募集東100万・西68万kW
11月1日中国電力NW託送改定低圧 +1.12円/kWh
2027年度容量追加オークション457.9万kW・425.1億円

提案・審査中

検討中長期市場10%供出、N-3/N-1、エリア指定
検討GX-ETS卸・規制料金への見積反映
検討収入上限8社 +8,844億円、最終単価待ち
検討FRT特高PV・蓄電池、2028年4月案
契約・料金表は確定事項で更新。提案事項は低・中・高の3シナリオを持ち、決定時に差し替える。
出典:EPRX / OCCTO / METI / 中国電力ネットワーク10

卸市場

8月平均はシステム19.12円、東京21.23円へ上昇

東京は4月以降20円前後で高止まり。システム平均は前年比 +59.6%。

2026年1月から8月のJEPX月平均 システム平均は11.27円から19.12円へ、東京平均は12.07円から21.23円へ上昇。 24円20円16円12円 1月2月3月4月 5月6月7月8月
システム東京
+6.8%システム 前月比17.91 → 19.12円
+6.9%東京 前月比19.86 → 21.23円

データ時点
8月28日公表
8月29日受渡分まで

卸市場

収益を決めたのは、30分 × エリアの上振れ

中部21.47円、北海道14.68円。平均差6.79円でも、30分値差は最大40.12円。

エリア平均(円/kWh)

北海道
14.68
東北
15.82
東京
21.23
中部
21.47
北陸
20.09
関西
19.00
中国
17.66
四国
16.69
九州
16.68
55.23円エリア最大8/26 17:00〜17:30・中部〜九州側
40.12円最大エリア値差8/1最終コマ・東京50.01−北海道9.89
31.39円95パーセンタイル(P95)30円以上116コマ・全体の8.3%
29.25円点灯帯平均ピーク18:30開始・昼間底との差14.85円
重要指標は月平均から、30分 × エリア別の高価格露出・時間前差・DR/蓄電池ヘッジ率へ。

卸市場

容量・環境価値・柔軟性に上乗せ価値

当月イベントと最新スナップショットを分け、各価値を重ねて案件採算を評価する。

価値8月/最新値比較読み方
容量2兆2,093.6億円+19.4%実需給2029メインの最新公表。容量ほぼ横ばいでも総額上昇(当月新規結果なし)。
非FIT非化石価値1.20/1.21円+66.7/+33.0%指定なし/再エネ指定。買÷売56.0倍/6.19倍。FITは8月31日公表予定。
太陽光の市場連動型支援(FIP)38.2MW募集115.4MW第29回。接続・施工・制御・市場収益を含む案件成立性が制約。
蓄電池31.45円/kW・回+6.3%2時間運転の概算価格差収益。7月29.58円との比較で、効率・劣化等は控除前。
案件IRRは、容量収入+環境価値+市場裁定+長期契約から、出力制御・FRT・劣化・信用コストを控除して評価。

料金動向

8月使用分は支援最大、10月請求は支援縮小+燃料高で反発

「8月は安い」で終わらせず、使用月・請求月・料金連動方式を分けて説明する。

政府支援(円/kWh・使用月)

低圧。高圧は1.8/2.3/1.8円。特別高圧は対象外。家庭260kWhなら8月使用分は1,170円の値引き。

9月 → 10月請求の前月差(円)

東京
+432
東北
+416
北海道
+334
北陸
+310

各社の標準モデル・社内前月差。絶対額の会社間比較ではない。

東電 +432円の内訳:約260円が支援縮小、約172円が燃料費上昇。

料金・競合

競争は単価から、獲得・囲い込み・DR・リスク配分へ

新電力シェアは前年比回復。東京では高圧・電灯が4割近い。

22.4%全国・販売電力量前年比 +2.2ポイント
25.0%全国・販売額前年比 +2.8ポイント
24.9%全国・低圧口数前年比 +1.7ポイント
33.6%東京・全電圧高圧38.7/電灯39.2
競争軸事業者8月の動き戦略的意味
調達リスクCable Plus12月使用分から調達費調整を追加旧一電との供給提携+契約者へのリスク配分
EV・夜間需要ENEOSEV夜とくで最大6,000円EV顧客と夜間需要をセットで囲い込み
紹介・経済圏Octopus/楽天8,888円割引/ポイント施策獲得単価を割引・ポイントで可視化
行動変容DRドコモ/Looop健康連携・集団節電ミッション通信・アプリ・需要制御を統合

実務対応

9月は「原価モデル更新」と「リスク指標」を先に実装

制度の最終決定を待たず、確定事項は反映し、未決事項は感応度で管理する。

01 小売・料金

  1. 2027〜30年度の容量・託送・炭素をエリア × 電圧別に更新
  2. 調達費・燃調・制度費の転嫁条項を顧客通知と再点検
  3. 使用月基準で支援を説明し10月請求の反動を先回り

02 需給・DR

  1. 高価格露出・時間前差・インバランスを30分 × エリアで指標化
  2. DR・蓄電池・時間前取引の実効ヘッジ率を月次検証
  3. 冬季予備率2.3%ケースで調達・需要抑制をストレステスト

03 発電・蓄電

  1. FRT対応PCS・出力制御・試験費を案件IRRへ反映
  2. 容量・非化石・裁定・長期契約で収益感応度を作成
  3. 補完・予備電源・FIP/PPAの参加条件を確認
次月の確認事項8月31日 FIT非化石結果 | 9月1日 需給調整上限 | 9月15日 予備電源締切 | 9月25日 浜岡報告 | 11月1日 中国電力NW託送
月末確定版では、8月29〜31日の公表と8月全受渡分を更新する。16

付録

データ時点・読み方・主要参照資料

速報版のため、月末3日分と一部結果は確定版で更新する。

データ時点

  • トピック:8/28 08:52 日本時間生成、8月108件・25日分
  • 制度:8/27まで。8/28会合は資料未確認のため除外
  • JEPX:8/28公表、8/29受渡分まで。スポットCSVを直接集計
  • 非化石:8/28公表分まで。FITは8/31予定で未公表
  • 競争:2026年5月実績、8/17公表。料金支援は使用月基準

読み方

確定/公表済み・提案/審査中・未公表を分離。前月・前年比較は同一定義の数値に限定。2時間粗利は理論指標。

主要参照資料

  1. POWERR GX(内閣官房)
  2. 中長期取引市場WG(METI)
  3. 容量追加・需給評価(OCCTO)
  4. スポット・非化石(JEPX)
  5. 収入上限・競争統計(監視委)
  6. 中国電力ネットワーク託送
  7. 電気・ガス料金支援(METI)
  8. 電力事業ナビ Topics
本資料は2026年8月の速報版。意思決定時は、各一次資料の最新公表と契約条件を再確認する。