Policy Issue

ベースロード市場の再編

2026年度第1回BL取引は中止されました。JEPXは8月31日、値差補填・徴収の対象期間を延ばす取引規程を改定済みです。GX-ETS費用を供出上限価格へ入れるガイドライン案は、9月24日の意見募集終了後の最終確認が残ります。

値差規程改定・GX案調達影響制度資料の確認:2026-10-02ページ編集:
調達・需給

現在地

確認できている方向性

確定した取引規程と、GX-ETSの改定案を分けます。買い手の購入可能量、1年物・2年物の燃料費調整と預託金、年度単位のエリア値差清算を押さえ、次回公表日程の10月16日に備える段階です。

小売実務への示唆

小売は未調達量を受渡年度別に見直し、JEPXの購入可能量を確認します。石炭価格調整、GX-ETS見積費用、エリア値差清算、預託金を別に管理し、年次清算を待つ間の運転資金も試算します。

長期調達

制度の仕組み

  1. 購入可能量・商品を確認
  2. 入札と預託金
  3. スポット経由の受渡し
  4. 石炭調整・年次値差清算

購入可能量は個社・BGの需要等に基づきます。石炭価格調整、GX-ETSの費用見積り、エリア値差清算は別の仕組みです。

JEPXの現行取引規程・細則・取引日程と、e-Govの2026年8月ガイドライン案を参照。GX-ETSは案として表示し、対応提案は当サイトの解釈です。

現在地・経緯と対応

30秒で分かる現在の結論

値差清算延長は8月31日改定の取引規程に反映済みです。GX-ETS費用の算定案、石炭の燃料費調整、エリア値差清算、買い手の購入可能量を分けて確認します。

分かっていること

  • 2026年度第1回取引の中止はJEPXが8月21日に公表した。公表日程では次回は10月6〜16日入札、10月16日実施で、変更通知を別に確認する。中止通知 ↗/2026年度日程 ↗
  • JEPXは8月31日に値差補填・徴収の対象期間延長に伴う取引規程改定を公表。附則5条は2028年3月31日まで、2026年度約定の2年物は2029年3月31日までを対象とする。附則5条、p.28 ↗
  • 8月26日案の意見募集は9月24日に終了した。GX-ETS費用を供出上限価格へ算入する文言は、案と最終改定を区別して扱う。案件620340006 ↗
  • 現行取引規程では買い手が購入可能量の算定に必要な情報を事前届出し、JEPX算定量以内で入札する。新規小売は前年度2月末までの見通し届出が必要。47・52条、pp.12〜13 ↗
  • 1年物・2年物と石炭価格連動の有無を区分する。細則3条の預託金計算には未受渡分の買い代金の1年物1%、2年物2%が含まれ、会員全体の最低額は100万円。これだけで総所要資金が賄えるわけではない。3条・4条 ↗

まだ決まっていないこと・個別に確認すること

  • GX-ETS改定案の政府回答、最終文言・適用時点
  • 第2回以降の実施確認、約定量・価格と小売ごとの購入可能量
  • GX-ETS見積費用と実績差の最終的な取扱い。石炭価格調整やエリア値差清算と同一視しない
  • 中長期市場への移行時期、移行後に残る受渡し・清算の規則

当事者の疑問

売り手のグループ基準は新しい中長期市場と同じか

8月のBL改定案2(2)では、全国500万kW以上の発電事業者、その親会社、当該事業者又は親会社から3分の1以上の出資を受ける発電事業者を対象とする記載があります。中長期市場第4回の議決権等50%超の案とは基準が異なります。制度間でグループ判定を共通化せず、対象電源・契約と適用規則を別に確認します。改定案2(2)、p.3 ↗

どのくらい買えるのか

現行規程はJEPX算定の購入可能量を上限とします。8月改定案2(4)は、各市場範囲のベースロード需要から適格相対契約量と既に受渡しが確定している前年2年物等を差し引く考え方を記載。BG代表は参加小売ごとの内訳も出します。改定案では、実績ある小売は年間18日の下位需要を除く最低需要を用い、実績1年未満の小売には計画値・翌年度控除・2月末までの説明等の特則があります。適用時は現行様式と最終ガイドラインで照合してください。改定案2(4)、pp.15〜16 ↗

GX-ETS費用は石炭火力の全排出量に掛かるのか

改定案はまず発電事業全体の直接排出量と無償割当等の差分を求め、正の不足量をユニットごとのベンチマーク超過に応じて按分し、石炭火力分を取り出す順序です。余剰の場合の活用コミットメント、受渡年度別の排出枠価格も条件になります。全排出量に単価を掛けた額をそのままBLへ転嫁する案ではありません。改定案2(3)(e)、pp.11〜14 ↗

燃料費調整とGX-ETSの事後精算は同じか

JEPX日程の注1は、石炭の貿易統計と商品の調整係数による月別調整を定めます。一方、GX-ETS案は受渡年度の費用見積りを供出上限価格へ算入するものです。見積りと実績の差について石炭と同じ自動精算があると読まず、最終文言を確認します。日程注1、p.2 ↗/GX-ETS費用の算定 ↗

値差清算で原価は完全に固定されるのか

清算はエリアごと・年度単位で行い、基準エリアと同一の入札は対象外です。売り手には注文価格、買い手には約定価格を使い、閾値を超える損益を補填・徴収します。補填は規定された原資の範囲内です。年次清算までの日々のスポット決済資金と、閾値内の負担が残ります。値差補填・徴収1(1)・(2) ↗

寄せられた意見と制度側の回答

  • 7月9日〜8月7日にもBLガイドライン案への意見募集があり、8月26日〜9月24日のGX-ETSを含む改定案と区別する。後者は受付終了後の政府回答・最終文言を確認する段階。7月募集・620226018 ↗/8月募集・620340006 ↗
  • 制度設計WGの意見No.128は既存市場の検証を先行するよう求めた。政府は中長期市場によるBL市場の役割代替と発展的解消の方向を回答したが、既存約定の受渡しが消えるとは述べていない。回答No.128 ↗
  • 監視委員会の8月27日の異存なし回答と、JEPXが8月31日に公表した取引規程改定は別段階。現在の実務条件は公表済みの改定規程を優先して確認する。監視委員会回答 ↗/8月31日改定のお知らせ ↗

小売が今やること

以下は当サイトの実務上の解釈です。

  1. 購入可能量と既存の適格相対・2年物約定量を照合する
  2. 10月6〜16日の公表入札日程と変更通知を確認する
  3. 石炭・排出枠・エリア値差を別々に変えた原価シナリオを作る
  4. 未受渡残高に応じた預託金と、日々の決済・年度清算の資金を点検する

議論の経緯

BL市場の創設・商品拡充

新規小売のベースロード電源アクセスを整備し、1年固定に加えて石炭事後調整付き1年・2年商品へ拡充。

中長期市場による役割代替の方向

制度設計WGの政府回答No.128でBLの発展的解消を説明。

2つのガイドライン意見募集

7月募集とGX-ETSを含む8月募集を実施。第1回BL取引は8月21日に中止公表。

JEPX取引規程改定

値差補填・徴収の対象期間延長を附則5条に反映。

自社条件によって確認すること

業界各社の動き・関連する新着

公表された事実と、制度への接点を分けて読みます。掲載日は出来事の発生日・適用日とは異なる場合があります。

掲載 2026-08-06|発表内容は本文・原典で確認

九州電力、2027年度から4年間のベースロード商品を最大100万kW募集

九州電力は、2027年4月から2031年3月までを受渡期間とする常時一定の卸電力商品を公募した。予定数量は最大100万kW、最小申込単位は0.1MWで、基本料金と従量料金を組み合わせたマルチプライス方式を採用する。申込受付は8月24~26日で、自社小売部門も参加対象となる。

制度との関係(編集上の整理)
年間商品の価格は日々のスポットと対象期間が異なります。市場移行後も既存契約の精算条件を追います。

事業上の確認点
小売電気事業者は、単年度の相対契約より長い価格・数量ヘッジを確保できる一方、4年間の需要変動と市場価格の下振れを負う。応札時はJEPX調達との比較に加え、信用要件、ベースロード形状、需要離脱時の余剰処分まで織り込む必要がある。

発表段階・一次資料を確認 →
掲載 2026-08-04|発表内容は本文・原典で確認

中長期取引市場、5GW以上の大規模電源に販売量10%拠出案

資源エネルギー庁の中長期取引市場検討会は、保有電源が5GW以上の事業者に販売量の10%を新市場へ供出させる案を示した。旧一般電気事業者、JERA、J-POWERなどが候補となり、買い手が受渡エリアを選べる設計も検討している。

制度との関係(編集上の整理)
年間商品の価格は日々のスポットと対象期間が異なります。市場移行後も既存契約の精算条件を追います。

事業上の確認点
制度化されれば、新電力の複数年調達機会と大規模発電者の販売ポートフォリオが変わる。供出義務の対象、価格形成、受渡エリア、インバランス責任は未確定であり、相対契約や先渡し市場との代替・補完関係を追う必要がある。

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この制度に関する新着一覧 →

データから見る背景

研究から得られる補助線

日本・英国・イタリア・ベルギー・アイルランド・PJMの容量市場と、ドイツ・ベルギー・スウェーデンの戦略的予備力を制度設計と取引実態から比較しています。|公表 2026-07-31|過年度報告書の新規公表 対象年度 令和5年度

安定供給・脱炭素と市場参加者の行動を海外から読む

研究が示すこと(掲載済み要約)
同じ供給力確保でも、信頼度基準、調達時期、費用負担、価格決定、リクワイアメントとペナルティが国ごとに異なり、投資回収と電源行動への作用も変わります。

この制度で考える問い
日本の投資予見性を最も左右するのは、信頼度基準、オークション設計、未達ペナルティ、参加要件のどれか。

前提・限界
令和5年度事業の報告書が2026年7月31日に新規公表されたものです。主に2023年度調査・2024年時点の海外制度で、現行ルールは一次情報で再確認が必要です。

著者・原典・実務との接点 →
この制度に関する研究一覧 →
当サイトの解釈・検討する問い

BLの購入上限と3つの精算を分ける

制度本文または根拠資料が更新されています。以下の解釈は再確認が必要です。

未調達量の補完は、購入可能量と資金余力の範囲で検討します。石炭の月別調整、GX-ETSの見積費用、年次のエリア値差補填・徴収を分けると、見かけの約定価格と実効原価の差を説明できます。

成り立つ条件・限界
GX-ETS案の最終文言は別確認が必要です。値差補填には閾値・原資制約があり、年度末までの運転資金やすべての価格差をなくすものではありません。

次に確認すること
次回の実施通知と購入可能量を確認し、未受渡残高・石炭価格・排出枠費用・値差を反映した資金を再計算する。

解釈の確認日:2026-10-02
この解釈の根拠を確認制度の現在地と一次資料へ戻る
主な審議会・検討会JEPX/電力事業環境整備WG
直近の確認事項JEPX取引規程2026年8月31日改定/GX-ETS案の意見募集9月24日終了
今回の変化値差清算延長を改定済み規程へ更新。購入量制限、BG、新規小売、燃調・GX費用・預託金の違いを追加

期限・節目

一次資料

本ページは公開された一次資料を実務向けに整理したもので、法的助言ではありません。対応時は最新の法令・告示・ガイドライン・公式資料をご確認ください。