30秒で分かる現在の結論値差清算延長は8月31日改定の取引規程に反映済みです。GX-ETS費用の算定案、石炭の燃料費調整、エリア値差清算、買い手の購入可能量を分けて確認します。
分かっていること
- 2026年度第1回取引の中止はJEPXが8月21日に公表した。公表日程では次回は10月6〜16日入札、10月16日実施で、変更通知を別に確認する。中止通知 ↗/2026年度日程 ↗
- JEPXは8月31日に値差補填・徴収の対象期間延長に伴う取引規程改定を公表。附則5条は2028年3月31日まで、2026年度約定の2年物は2029年3月31日までを対象とする。附則5条、p.28 ↗
- 8月26日案の意見募集は9月24日に終了した。GX-ETS費用を供出上限価格へ算入する文言は、案と最終改定を区別して扱う。案件620340006 ↗
- 現行取引規程では買い手が購入可能量の算定に必要な情報を事前届出し、JEPX算定量以内で入札する。新規小売は前年度2月末までの見通し届出が必要。47・52条、pp.12〜13 ↗
- 1年物・2年物と石炭価格連動の有無を区分する。細則3条の預託金計算には未受渡分の買い代金の1年物1%、2年物2%が含まれ、会員全体の最低額は100万円。これだけで総所要資金が賄えるわけではない。3条・4条 ↗
まだ決まっていないこと・個別に確認すること
- GX-ETS改定案の政府回答、最終文言・適用時点
- 第2回以降の実施確認、約定量・価格と小売ごとの購入可能量
- GX-ETS見積費用と実績差の最終的な取扱い。石炭価格調整やエリア値差清算と同一視しない
- 中長期市場への移行時期、移行後に残る受渡し・清算の規則
当事者の疑問
売り手のグループ基準は新しい中長期市場と同じか
8月のBL改定案2(2)では、全国500万kW以上の発電事業者、その親会社、当該事業者又は親会社から3分の1以上の出資を受ける発電事業者を対象とする記載があります。中長期市場第4回の議決権等50%超の案とは基準が異なります。制度間でグループ判定を共通化せず、対象電源・契約と適用規則を別に確認します。改定案2(2)、p.3 ↗
どのくらい買えるのか
現行規程はJEPX算定の購入可能量を上限とします。8月改定案2(4)は、各市場範囲のベースロード需要から適格相対契約量と既に受渡しが確定している前年2年物等を差し引く考え方を記載。BG代表は参加小売ごとの内訳も出します。改定案では、実績ある小売は年間18日の下位需要を除く最低需要を用い、実績1年未満の小売には計画値・翌年度控除・2月末までの説明等の特則があります。適用時は現行様式と最終ガイドラインで照合してください。改定案2(4)、pp.15〜16 ↗
GX-ETS費用は石炭火力の全排出量に掛かるのか
改定案はまず発電事業全体の直接排出量と無償割当等の差分を求め、正の不足量をユニットごとのベンチマーク超過に応じて按分し、石炭火力分を取り出す順序です。余剰の場合の活用コミットメント、受渡年度別の排出枠価格も条件になります。全排出量に単価を掛けた額をそのままBLへ転嫁する案ではありません。改定案2(3)(e)、pp.11〜14 ↗
燃料費調整とGX-ETSの事後精算は同じか
JEPX日程の注1は、石炭の貿易統計と商品の調整係数による月別調整を定めます。一方、GX-ETS案は受渡年度の費用見積りを供出上限価格へ算入するものです。見積りと実績の差について石炭と同じ自動精算があると読まず、最終文言を確認します。日程注1、p.2 ↗/GX-ETS費用の算定 ↗
値差清算で原価は完全に固定されるのか
清算はエリアごと・年度単位で行い、基準エリアと同一の入札は対象外です。売り手には注文価格、買い手には約定価格を使い、閾値を超える損益を補填・徴収します。補填は規定された原資の範囲内です。年次清算までの日々のスポット決済資金と、閾値内の負担が残ります。値差補填・徴収1(1)・(2) ↗
小売が今やること
以下は当サイトの実務上の解釈です。
- 購入可能量と既存の適格相対・2年物約定量を照合する
- 10月6〜16日の公表入札日程と変更通知を確認する
- 石炭・排出枠・エリア値差を別々に変えた原価シナリオを作る
- 未受渡残高に応じた預託金と、日々の決済・年度清算の資金を点検する
議論の経緯
BL市場の創設・商品拡充新規小売のベースロード電源アクセスを整備し、1年固定に加えて石炭事後調整付き1年・2年商品へ拡充。
中長期市場による役割代替の方向制度設計WGの政府回答No.128でBLの発展的解消を説明。
2つのガイドライン意見募集7月募集とGX-ETSを含む8月募集を実施。第1回BL取引は8月21日に中止公表。
JEPX取引規程改定値差補填・徴収の対象期間延長を附則5条に反映。