Policy Issue
GX-ETSの卸価格・料金反映
GX-ETSは2026年度から法的な排出枠保有義務を伴う制度として動いています。一方、卸価格への反映は市場別の設計が必要で、8月26日公示のベースロード市場ガイドライン案は、発電事業全体の不足分をユニットへ配分する算式を示しています。
制度稼働・卸反映案影響大制度資料の確認:2026-10-02ページ編集:
調達・需給料金・営業環境価値
現在地
確認できている方向性発電のCO₂全量に炭素単価を掛けた額が、そのまま追加の卸原価になるわけではありません。無償枠、ユニット別の不足、将来投資等へ充てる余剰の扱いを踏まえ、制度上の費用と契約で回収できる額を分けます。
小売実務への示唆発電側には排出・割当見通しと市場別費用配分、小売側には卸契約への反映年度・算式・精算有無の確認が必要です。ベースロード案の価格見積りは受渡し年度が基準で、2026年度の3,000円/tを将来の全契約へ固定して使いません。
脱炭素・環境価値制度の仕組み
- 直接排出量・割当量の算定
- 発電事業全体の不足を把握
- 市場・ユニットへ費用配分
- 卸契約・小売料金へ反映
国への排出枠保有義務、取引所入札で認められる費用、相対契約で合意した価格調整は、それぞれ別に確認します。
GX推進機構の制度実務、3月30日の意見募集回答、e-Govのベースロード市場ガイドライン案pp.12~14を確認。卸市場別の8月会合整理は既存確認を継承し、最終指針・意見募集結果を継続確認します。現在地・経緯と対応
30秒で分かる現在の結論GX-ETS自体の義務と、発電費用を卸価格へ反映するルールを分けます。小売は相手の排出量だけでなく、無償枠の見込み、費用の配分先、見積り年度、実績差額を精算する契約かを確認します。
分かっていること
- 制度対象は、CO₂直接排出量が前年度までの3年度平均で10万t以上の事業者。小売販売電力量や需要家の間接排出量だけで対象を判定しません。2026年度は4月1日から排出量等を算定し、9月30日までに制度対象である旨等の届出と移行計画を提出する実務が示されています(GX推進機構「排出量取引制度について」)。
- ベースロード案は、受渡し年度の発電事業全体の直接排出量Aから割当見込みBを引いた不足分を出発点にします。発電関連の研究開発投資等による割当見込みも条件に従って計上する整理です(案p.12)。
- 各ユニットの排出量とベンチマークから算定する枠の正の差分を計算し、その比率で事業全体の不足を按分します。石炭火力分を合計してベースロード原価の算定へ用います(案pp.13~14)。
- 発電事業全体の差分が0以下なら費用は0とし、余剰を将来の枠の償却や脱炭素投資等へ活用するとコミットしている場合、供出上限価格へ反映しない案です。すべての余剰収益の無条件除外を定めたものではありません(案p.12)。
- 排出枠取引開始前の見積価格は、当該受渡し年度の上限・下限価格の中点とする案です。将来年度は毎年度3%と物価変動見込みを考慮でき、2年商品では年度ごとに算定した費用を合計します(案p.14)。
- 2026年度の参考上限4,300円/t、調整基準1,700円/tに関し、3月30日の政府回答は想定削減対策費用等を根拠に説明しています。J-クレジット・JCMの売買価格まで同じ水準に固定する制度ではありません(回答No.136~147)。
- 8月25日の卸市場別整理では、N-1年度末の見積りによるN年度価格反映、原則事後差額調整なし等が提案されています。この卸市場別の案と、ベースロードの意見募集が終わったことだけをもって全市場の最終決定とはしません。
まだ決まっていないこと・個別に確認すること
- ベースロード案の9月24日締切後の提出意見・政府回答・最終ガイドライン。締切後の案を確定規程として扱いません。
- 適正な電力取引指針等の最終改定、スポット・需給調整・長期脱炭素等における最終の費用・収益反映、監視に用いる証憑。
- 個別相対契約で費用を上乗せできるか、過去契約の再交渉、見積り誤差と事後精算の負担。市場のルールから自動的には決まりません。
- 排出枠市場の最終開設日、流動性確保と保有制限等の最終設計。2027年度秋頃という既存の基本設計案と実際の開設を区別します。
小売が今やること
以下は一次資料を踏まえた当サイトの実務上の提案です。
- 発電・小売の対象判定を法人単位で整理し、9月30日までの初年度手続の実施状況を確認する。未完了ならGX推進機構の正式窓口で対応を確認する。
- 発電量、燃料使用量、排出原単位、無償枠、追加割当見込みを年度別にそろえ、事業全体とユニット別の試算をつなぐ。証書や需要家の排出係数だけでGX-ETS費用を計算しない。
- 小売は卸相手ごとに、加算対象費用、基準年度、炭素価格の参照方法、上限、収益控除、実績差額調整の有無を契約台帳に記録する。
- ベースロードの2年商品は受渡年度ごとに原価を試算する。2026年度の1,700~4,300円/tを感応度に使う場合も、将来価格の確定値ではないと明示する。
- 卸価格に既に含まれる炭素費用を別加算で再計上していないか照合する。一方、別制度の非化石証書や2028年度の賦課金を、相殺根拠なしに減額しない。
当事者が判断したいこと
無償枠がある発電会社なら追加費用は必ずゼロか
無償割当は全量補償を意味しません。排出実績・活動量・ベンチマーク等で過不足が変わります。ベースロード案では事業全体の不足を確認した後、ユニットへ配分するため、電源単体の排出原単位だけでは卸原価を確定できません。
小売は炭素費用をそのまま需要家へ請求できるか
個別料金・契約条件の確認が必要です。制度が発電側の費用認識を認めても、既存の固定価格契約が自動的に変更されるとはいえません。料金改定時期と説明・通知を含めて確認します。
3,000円/tは政府保証価格か
2026年度の1,700円と4,300円の中点であり、市場実勢価格の保証ではありません。ベースロード案で取引開始前に用いるのは受渡し年度の中点なので、2027年度以降の契約へ3,000円を固定で置くと年度がずれます。
提出意見と回答
- 3月の回答No.8では、届出・報告・確認の期間延長を求める意見に対し、産業界と登録確認機関との議論を経た執行日程として原案を維持しました。初年度の期限と通常年度の手続を区別して管理します。
- 第2フェーズから全電源を基準にする要望に対し、国は供給力と建設リードタイム等を踏まえ、まず火力に着目する設計を説明しています。有償オークションは2033年度からの位置付けです(回答No.6~7、発電ベンチマーク関係)。
- 参考上限を抑え市場流動性を確保してほしいという要望に対し、国は上限水準の考え方を維持し、流動性確保策は今後検討と回答しました。上下限はすべてのGX製品・クレジットの適正価格を示す指標ではありません(No.140~147)。
- 高度化法との二重負担・制度統合の要望には、非化石電源の維持・拡大機能がGX-ETS第2フェーズで完全に代替されないため、当面併存すると回答しています(5月1日非化石回答No.7~9)。
議論の経緯
GX推進法を改正排出量取引を法定化。発電部門の有償割当等と段階を分けて整備。
省令・告示等の意見募集結果167件の意見への回答と案の変更点を公表。
本格稼働初年度排出量の算定を開始。
ベースロード案の意見募集発電事業全体から石炭火力ユニットへ配分する算式を提示。
初年度手続期限制度対象である旨等の届出と移行計画の提出期限。
自社条件によって確認すること
- 炭素費用の基礎をCO₂全量ではなく、適用ルールに沿う排出量と割当量の差分で確認したか
- 2026年度の制度対象届出・移行計画提出の期限と、その後の排出実績管理を確認したか
- 卸相手の発電事業全体の費用と個別電源へ按分した費用を混同していないか
- 見積りの受渡年度・更新日・控除・事後精算条件が契約書と一致しているか
業界各社の動き・関連する新着
公表された事実と、制度への接点を分けて読みます。掲載日は出来事の発生日・適用日とは異なる場合があります。
掲載 2026-08-27|発表内容は本文・原典で確認政府は8月26日、AI・データセンターの電力需要増加と国際情勢の変化へ対応するエネルギー需給構造強靱化策をまとめた。ガスタービン供給力の倍増、燃料調達先の分散、原子力・再エネ・系統への投資などを一体で進める方針で、ガス火力は将来の水素利用も想定する。
制度との関係(編集上の整理)
炭素費用、燃料費、契約上の転嫁を分けます。制度案の公表と個別料金の改定決定は同一ではありません。
事業上の確認点
発電事業者や旧一般電気事業者は、個別電源の採算だけでなく、LNG調達、建設リードタイム、容量収入、系統制約、データセンター需要を統合した長期ポートフォリオで判断する必要がある。ガスタービン案件では炭素費用と水素転換費用も感度分析へ加えたい。
発表段階・一次資料を確認 →掲載 2026-07-29|発表内容は本文・原典で確認資源エネルギー庁は、GX-ETSで発生する排出枠費用を卸電力取引へ反映する方法を検討した。企業単位の排出量と無償割当量から算定した負担を、ベンチマークを上回る発電設備へ配賦する案などが示されたが、具体的な仕組みは未決定である。
制度との関係(編集上の整理)
炭素費用、燃料費、契約上の転嫁を分けます。制度案の公表と個別料金の改定決定は同一ではありません。
事業上の確認点
炭素費用の配賦方法は、火力電源ごとの限界費用、相対契約価格、JEPXへの入札行動を変える可能性がある。発電・小売双方は、排出原単位と無償割当の前提を変えた価格感応度を準備しておく必要がある。
発表段階・一次資料を確認 → この制度に関する新着一覧 →データから見る背景
ベースロード・非化石価値約定実績
詳細画面で確認
詳細画面で地域・期間を選択非化石3商品とベースロードの期間・属性を分けて比較します。
対象期間・地域を選んで見る → · 定義・出所JCC・JCoal・JLC輸入実績
詳細画面で確認
詳細画面で地域・期間を選択通関CIF平均は個社の契約価格ではありません。
対象期間・地域を選んで見る → · 定義・出所東京エリア家庭向け料金マスター
詳細画面で確認
詳細画面で地域・期間を選択東京家庭向けの料金方式・契約条件を確認。託送・容量・炭素費用が独立費目として転嫁されるかは各社約款によって異なります。政府支援等を含まない参考試算です。
対象期間・地域を選んで見る → · 定義・出所電力各社IRの燃料・為替前提
詳細画面で確認
詳細画面で地域・期間を選択各社の業績予想前提であり、市場の予測や実際のヘッジ価格ではありません。
対象期間・地域を選んで見る → · 定義・出所研究から得られる補助線
IEAのWEO等の公開情報を基に、世界の需給、主要国政策、NDC、再エネ、原子力、水素、CCSの動向を横断的に整理しています。|公表 2026-08-25| 対象年度 令和7年度研究が示すこと(掲載済み要約)
電力需要の増加と電化が世界需要を牽引する一方、再エネ拡大では系統・蓄電・許認可等の実装制約と安全保障が重みを増すと整理しています。
この制度で考える問い
2040年までの計画で、電力需要増、系統・蓄電整備、技術・鉱物供給の遅れをどのシナリオに織り込むか。
前提・限界
既存機関の予測と2026年初頭までの公開政策情報を整理したもので、将来需給や価格の独自確定予測ではありません。
著者・原典・実務との接点 →供給力、ネットワーク、取引市場、電力産業、人材・サプライチェーンを体系化した2025年12月時点の政策中間整理案です。|公表 2026-01-16|当時点の中間整理案(最終版公表済み) 研究が示すこと(掲載済み要約)
電源投資、容量市場、LNG、系統金融、大規模需要接続、中長期・同時市場、小売の供給能力、非化石証書、GX-ETSを次期制度設計の対象として整理し、発電・送配電・小売・需要家の連携や人材も産業政策として扱っています。
この制度で考える問い
制度変更候補ごとに、影響する業務、KPI、データ、意思決定期限、担当部門を対応付けられているか。
前提・限界
資料自体が当時の「案」で、2026年3月に最終版が公表済みです。現在の制度動向を確認する際は最終版との差分が必要で、シンポジウム当日の歴史的スナップショットとして扱います。
著者・原典・実務との接点 → この制度に関する研究一覧 →当サイトの解釈・検討する問い排出枠不足と卸価格加算の間を確認する
小売が確認すべきなのは、相手の発電量や炭素単価だけでなく、無償枠・追加割当と費用配分です。見積りを更新する時期と契約の事後精算の有無が異なると、原価増が料金改定より先に発生し得ます。
成り立つ条件・限界
ベースロード案は意見募集終了段階で、最終ルールの確認が必要です。2026年度の中点3,000円/tは将来の市場実勢や全卸契約の固定価格ではありません。
次に確認すること
各卸契約で、費用の算定範囲、受渡年度、無償枠・余剰の扱い、改定権と事後精算を説明できるか。
解釈の確認日:2026-10-02この解釈の根拠を確認
制度の現在地と一次資料へ戻る| 主な審議会・検討会 | 排出量取引制度小委員会・発電ベンチマークWG/電力事業環境整備WG/電力安定供給WG/GX推進機構 |
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| 直近の確認事項 | 2026年10月2日確認:GX制度実務・3月回答、ベースロード案(8月26日公示、9月24日締切) |
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| 今回の変化 | 法定義務と卸反映案を分離し、事業者全体の不足→ユニット按分→市場原価の算式、受渡年度の価格見積り、非化石制度との併存を具体化 |
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期限・節目
- 2026-04-01 / 制度開始 / GX-ETS本格稼働・初年度排出量算定開始
- 2026-09-30 / 提出期限 / 2026年度の制度対象である旨等の届出・移行計画(期限経過)
- 2026-09-24 / 意見募集期限 / ベースロード市場ガイドライン案(募集終了・最終結果を確認)
一次資料
本ページは公開された一次資料を実務向けに整理したもので、法的助言ではありません。対応時は最新の法令・告示・ガイドライン・公式資料をご確認ください。