Policy Issue

間接送電権によるエリア値差ヘッジ

間接送電権は、指定した2エリア間・方向別の翌日スポット価格差を清算する商品です。年間商品も公表されていますが、実際の翌日約定量による清算上限と、連系線容量等に伴う減量があります。

年間・週間商品運用商品拡充制度資料の確認:2026-10-02ページ編集:
調達・需給

現在地

確認できている方向性

JEPXの現行規程は週間・年間商品、正負両方向の金銭清算、保有量の減少を定めています。2027年度受渡し年間商品の次回公表入札期間は2027年2月22〜25日です。将来の中長期市場との接続は別に確認します。

小売実務への示唆

小売・発電は、契約のエリア、方向、30分ごとの現物量と権利量を突き合わせます。需要減・電源停止・連系線減量・値差反転のときに残る費用を、権利代金と手数料込みで試算します。

長期調達

制度の仕組み

  1. エリア・方向・期間を選ぶ
  2. 権利を約定
  3. 現物量・減量を照合
  4. 値差から権利代金を引き清算

指定した2エリア間の値差を清算します。翌日約定量は全エリアの売り・買いの合計から経過措置用入札分を除いて求め、保持量より少なければその量を上限にします。連系線による減量、権利代金と手数料も残ります。

JEPXの現行取引規程78〜90条、細則4条、2026年度商品表、4月17日通知、5月28日清算書変更案内を参照。契約別のヘッジ評価は当サイトの実務上の解釈です。

現在地・経緯と対応

30秒で分かる現在の結論

間接送電権が対象とするのは指定したエリア間の値差です。数量・方向・期間と現物約定を一致させ、容量減少や需要変化で残る負担も確認します。

分かっていること

  • 対象は指定したエリアの組合せ・方向に沿う翌日スポットの値差。全国平均価格との一律の差ではない。週間・年間商品を100kW単位、0.01円/kWh刻みで取引する。78〜81条、pp.19〜20 ↗
  • 2026年度商品表は2027年度受渡し年間商品を掲載。第1回の入札は2026年9月24〜28日、第2回は2027年2月22〜25日で、対象方向は商品表ごとに限定される。年間商品、p.9 ↗
  • 売り入札量は週間が空容量から年間約定分を控除。年間9月分は対象期間の空容量最小値の2分の1の4分の1、2月分は最小値の2分の1から9月約定分を控除する。1(1)・(2) ↗
  • 値差に乗じる量は保持量を上限とし、翌日約定量がそれより少なければ翌日約定量を使う。上限を求める翌日約定量には、経過措置用として入札された売買を含めない。翌日約定量は当該方向の現物取引だけを数えるのではなく、全エリアの売り約定量と買い約定量を合計したグロス量(経過措置用入札分を除く)。5月28日清算書変更案内、pp.1–2・新様式注4 ↗保持量に応じた権利代金は別に控除し、正なら交付、負なら徴収する。89条、p.22 ↗
  • 連系線の運用容量等により発行済みの権利量が減る場合があり、その際の手数料返金はない。売買手数料は買い約定量1kWh当たり0.01円・税別。87条、p.21 ↗/4条6項 ↗

まだ決まっていないこと・個別に確認すること

  • 年間・週間商品ごとの実際の約定量・流動性と、自社が必要とする方向の充足量
  • 中長期市場の3年前商品に対応する将来の値差ヘッジ制度。現在公表の商品で3年前から全量を確保できるとは限らない
  • 自社の翌日約定量・連系線停止・方向反転を反映した実際のヘッジ率。制度の未決事項と自社試算の未実施を区別する

当事者の疑問

エリア外相対契約に買えばすべての値差が消えるのか

契約の調達側と受渡側、権利の対象エリア・方向・期間を一致させる必要があります。清算は現物の翌日約定量とも連動するため、相対取引を含む自社の商流が規程上の清算量へ反映されるかを先に確認します。電力量そのものの不足やインバランスを補う権利ではありません。78・79・89条 ↗

需要減や電源停止で現物約定量が減るとどうなるか

権利保持量が余っても、値差の清算対象量には、経過措置用入札分を除いた翌日約定量の上限が掛かります。一方、権利代金は保持量に約定価格を掛けて控除します。持ち過ぎた数量、想定と異なる方向の値差、固定した権利価格によって徴収が生じ得ます。89条2項 ↗

連系線の故障・停止時にも同じ数量を清算できるか

前日に連係される運用容量・マージン・経過措置計画量等に応じ、JEPXが必要と判断した場合は保有量に比例して100kW単位で減量します。減量分の手数料は返金されません。調達契約の免責や代替費用まで、この規程が補填するわけではありません。87条 ↗

価格・資金はどう比較するか

権利の約定代金、税・手数料、日々の交付・徴収を含めます。売り入札価格には過去値差を用いる式と下限・上限があり、将来の値差を保証する価格ではありません。預託金は会員共通の規程も確認し、権利手数料だけで必要資金を見積もらないことが必要です。2(1)・(2) ↗/3条・4条 ↗

寄せられた意見と制度側の回答

  • 制度検討作業部会での商品拡充の議論を経て、JEPXは3月30日改定規程に週間・年間商品を規定し、4月17日に売り入札量・価格の扱いを公表した。現在の取引条件は検討案ではなく、規程と当年度商品表で確認する。第110回資料6 ↗/4月17日通知 ↗
  • 市場参加者の要望や将来の中長期市場との接続を、そのまま既存商品の権利に読み替えない。現行規程は現物と一体の清算、量の減少、正負の決済を明記している。78・87・89条 ↗

小売が今やること

以下は当サイトの実務上の解釈です。

  1. エリア外調達を対象連系線・方向・受渡年度に分ける
  2. 30分ごとに、保持量と経過措置用入札分を除いた翌日約定量の小さい方で清算額を再現する
  3. 値差反転、権利の持ち過ぎ、連系線減量の損益を計算する
  4. 公表商品表・売り入札量・約定結果と預託金・決済資金を点検する

議論の経緯

制度検討作業部会第110回

間接送電権の商品拡充等を検討。

JEPX規程改定

週間・年間商品の期間・取引日等を規定。

売り入札量・価格の通知

年間分と週間分の容量配分、過去値差を使う価格式を公表。

2027年度年間商品の取引日程

9月の第1回と2月の第2回で、同じ2027年度受渡し期間の商品を取引。

自社条件によって確認すること

業界各社の動き・関連する新着

公表された事実と、制度への接点を分けて読みます。掲載日は出来事の発生日・適用日とは異なる場合があります。

確認済みの関連事例はまだありません。企業の対応を推測で補っていません。

この制度に関する新着一覧 →

データから見る背景

研究から得られる補助線

政府委託調査/海外政策動向調査|公表 2026-08-24| 対象年度 令和7年度

諸外国の電力系統政策から接続・増強を読む

研究が示すこと(掲載済み要約)
欧米・豪州の制度を横断し、送電設備の長納期化や接続待ちへの対応として、複数案件を束ねた資機材調達、製造枠の確保、接続申請の優先・集約処理、将来を見越した系統整備などを整理しています。

この制度で考える問い
電源開発・調達案件の評価表に、系統接続時期、増強費、出力制御、調整力の条件が織り込まれているか。

前提・限界
本カードは報告書の調査範囲を紹介するもので、本文の国別比較、前提、政策評価を網羅しません。委託調査は政府の決定や公式見解そのものではありません。

著者・原典・実務との接点 →
この制度に関する研究一覧 →
当サイトの解釈・検討する問い

権利量と現物約定量の差を確認する

契約の固定価格だけで原価を固定できたと判断せず、30分ごとの現物量と権利量を照合します。需要減、電源停止、減量、値差反転を含めた損益を見るのが実務上の使い方です。

成り立つ条件・限界
全国平均価格のヘッジではありません。清算対象量は現物約定量にも制約され、減量時も手数料は返りません。現在の公表商品を3年前の全面的な値差保証とみなせません。

次に確認すること
自社のエリア外調達と同じ方向・期間の商品があり、清算対象となる翌日約定量を維持できるか確認する。

解釈の確認日:2026-10-02
この解釈の根拠を確認制度の現在地と一次資料へ戻る
主な審議会・検討会制度検討作業部会/JEPX 間接送電権市場
直近の確認事項JEPX現行取引規程78〜90条/2026年度商品表・2026年4月17日通知
今回の変化全国平均との値差という記述を訂正。現物約定量上限、連系線減量、手数料非返金、正負の清算を追加

期限・節目

一次資料

本ページは公開された一次資料を実務向けに整理したもので、法的助言ではありません。対応時は最新の法令・告示・ガイドライン・公式資料をご確認ください。