Policy Issue

中長期取引市場

中長期取引市場は詳細設計中です。大規模発電事業者の売り注文を促す仕組みと、小売が実際に購入できる条件は別です。第4回の複数市場・基準エリア案に加え、価格、信用リスク、再販売、容量市場との費用調整を確認する必要があります。

詳細設計中影響大制度資料の確認:2026-10-02ページ編集:
調達・需給

現在地

確認できている方向性

3月の政府回答は500万kW基準、原則10%の供出、まず小売を買い手とする方向を示しました。第3・4回のグループ範囲、実績発電量による配分、期間別の供出・履行判定は事務局案です。最終的な参加規則や決済条件は確定事項と分けて管理します。

小売実務への示唆

小売は売り手の供出量を自社の確保量とみなさず、約定量、燃調、基準エリア値差、預託金・保証、破綻時の代替調達をまとめて比較します。発電事業者は対象グループ、対象電力量、注文の維持と約定の記録を分けて準備します。

長期調達

制度の仕組み

  1. 対象グループ・供出量を算定
  2. 商品・エリア別に売買注文
  3. 約定と信用を管理
  4. 受渡し・燃調・値差を清算

供出の履行は個別小売の約定保証ではありません。kWh、受渡年度、負荷形状、燃調、基準エリアと信用条件をそろえて比較します。

制度設計WGの意見募集回答No.103〜129と電事連提出意見を参照。第3・4回の詳細設計は事務局案として区別し、対応提案は当サイトの解釈です。

現在地・経緯と対応

30秒で分かる現在の結論

売り手の供出義務案は、小売に必要量や固定価格を保証するものではありません。取引商品の価格条件と、与信・清算・エリア値差の条件までそろえて比較します。

分かっていること

  • 制度設計WGの2026年3月の整理は、一定規模以上の発電事業者に市場への供出を求め、小売の中長期調達と価格指標形成を促すもの。政府回答No.113・115〜117は、500万kW基準と原則10%の供出の方向を説明している。政府回答No.113〜117 ↗
  • 第3・4回事務局案では、供出総量を小売年間需要推定実績合計の10%とし、太陽光・風力・揚水・蓄電池・FITを配分対象から控除、FIPは控除しない。対象グループに議決権等50%超の発電事業者を含め、対象の実績発電量で配分する。
  • 第4回事務局案は複数市場と市場ごとの基準エリアを設け、総需要が最大のエリアのスポット価格を基準とする。市場の個数・境界は別途確定する案。
  • 想定する最低限の商品は3年前の1年物ベース、1年前の1年物ベース・ミドルで、燃料費事後調整の有無を分ける案。非化石価値は別に調達する。政府回答No.121・122は比較可能な標準算式を重視し、証書の一体取扱いを採らない方向を維持した。政府回答No.121・122 ↗
  • 供出義務案は、価格規律に沿う売り注文を指定期間出し続ける行為と約定を分ける。期間開始時の未約定残量を残り回数で割り、最終期間には残量全量を出す案で、個別小売への販売量の保証ではない。

まだ決まっていないこと・個別に確認すること

  • 市場の最終的な個数・境界、受渡し方法、基準エリアとの値差処理とヘッジ手段
  • 供出義務・グループ判定・商品別配分・履行判定の最終条文と適用開始。事務局案を既存相対契約の義務として扱わない
  • 購入上限、再販売、注文単位、決済・清算、預託金・保証・破綻時処理の具体的な参加規則
  • 容量市場の収入との固定費調整の方法、取引開始日、市場運営者の指定・業務規程

当事者の疑問

発電事業者は保有出力の10%を売ればよいのか

500万kWは対象事業者を選ぶ出力の基準、10%は市場に求める電力量の規模を考える基準です。対象判定のkW、供出総量のkWh、各社への実績発電量による配分を分けます。相対販売量を当然に全額控除できるとは整理されていません。政府回答No.116は相対契約控除の要望に対し、市場の流動性・小規模小売のアクセス・既存相対取引の自由度を考慮すると回答しています。回答No.113〜117 ↗

売り手の供出義務があれば、小売は必要量を買えるのか

供出の履行と売買の成立は別です。小売に価格や数量を保証する制度ではありません。買い手はまず供給力確保義務を負う小売電気事業者とする方向であり、500万kWは小売の購入資格ではありません。需要が減った場合の転売は認めることも考えられるとの段階です。回答No.125・126 ↗

価格・信用リスクはどこまで固定できるのか

固定価格と燃料費調整付きの商品を分け、受渡エリアと基準エリアの値差、売り手の不履行、顧客離脱時の余剰を確認します。政府は、一律の上限価格・コスト査定型の監視はなじまない一方、不当な売り入札は監視すると回答しました。銀行保証や変動証拠金、キャンセル条項の具体的採用は確定していません。回答No.108・111・124 ↗

容量拠出金と電源固定費を二重に払うのか

政府回答No.127は固定費の二重取り・二重払いを回避する調整を優先して詳細検討するとしています。容量収入を一律何円控除するかは未確定で、将来の還付を予算へ確定計上できません。回答No.127 ↗

寄せられた意見と制度側の回答

  • 電気事業連合会は1月28日提出意見No.13〜16で、固定費・可変費を基に各社が価格を設定すること、直接的価格規制を避けること、これらを前提に供出を求めること、ザラバを第一に検討することを支持した。政府回答No.104・108・112・118は基本方向を維持した。電事連提出意見No.12〜16 ↗
  • 政府回答No.124は清算機関・変動証拠金・保証等を求めた意見に対し、小規模事業者の参加しやすさと連鎖不履行の防止を両立する詳細検討とした。意見に挙がった対策すべてが採用されたわけではない。回答No.123〜126 ↗
  • 非化石証書も一括購入したいとの意見No.122には別市場で扱う方向を維持。BL市場や先渡市場を先に検証すべきとの意見No.128には、中長期市場がBL市場の役割を代替し、発展的解消する方向を回答した。回答No.122・128 ↗

小売が今やること

以下は当サイトの実務上の解釈です。

  1. 受渡年度別にベース・ミドル、固定・燃調付きの必要量を置く
  2. 売り手の供出予定量と、自社の約定量・未調達量を分ける
  3. 基準エリア値差と不足調達・余剰処分の費用を試算する
  4. 保証・預託金・破綻時処理の規則公表を受け、資金と契約を更新する

議論の経緯

制度設計WG案の意見募集

価格形成、供出義務、買い手資格、信用リスク、再販売に意見が寄せられた。

政府回答・取りまとめ

基本方向を示し、具体的な市場監視・決済・固定費調整を詳細検討に残した。

中長期取引市場検討WG

商品・供出量の議論から、第4回の複数市場・グループ範囲・履行判定案へ進んだ。

自社条件によって確認すること

業界各社の動き・関連する新着

公表された事実と、制度への接点を分けて読みます。掲載日は出来事の発生日・適用日とは異なる場合があります。

掲載 2026-09-04|発表内容は本文・原典で確認

企業向け再エネ固定価格調達、1年契約から選択可能に

デジタルグリッドは9月3日、高圧・特別高圧の法人需要家が再生可能エネルギー由来の電力を固定価格で調達するサービスを、9月7日に開始すると発表した。一般に10~20年程度となる再エネPPAに対し、契約期間を1年から選べるとしている。使用電力の一部を対象にできるため、全需要を固定価格化するサービスではない。

制度との関係(編集上の整理)
ベース・ミドル、受渡年度、エリア、燃調の有無をそろえて比較します。市場流動性は自社の約定量を保証しません。

事業上の確認点
需要家は長期契約を避けながら、市場価格に連動する調達量の一部を固定化する選択肢を持てる。比較時には固定単価と対象電力量だけでなく、負荷との時間帯不一致、環境価値の帰属、中途解約条件、既存小売契約との関係を確認したい。

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掲載 2026-08-22|発表内容は本文・原典で確認

愛媛県、県営2水力のFIT電力を2027年度から2年間入札

愛媛県は、松山発電工水管理事務所の畑寺発電所と肱川発電所で発電するFIT電気の卸供給先を一般競争入札で選ぶ。供給期間は2027年4月1日から2029年3月31日までで、開札は2026年9月11日に予定されている。

制度との関係(編集上の整理)
ベース・ミドル、受渡年度、エリア、燃調の有無をそろえて比較します。市場流動性は自社の約定量を保証しません。

事業上の確認点
自治体保有の再生可能電源について、複数年度の売電条件が競争入札で形成される。小売・発電事業者には、FIT電源の調達価値と需給管理費用を踏まえた応札判断が求められる。

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掲載 2026-08-06|発表内容は本文・原典で確認

九州電力、2027年度から4年間のベースロード商品を最大100万kW募集

九州電力は、2027年4月から2031年3月までを受渡期間とする常時一定の卸電力商品を公募した。予定数量は最大100万kW、最小申込単位は0.1MWで、基本料金と従量料金を組み合わせたマルチプライス方式を採用する。申込受付は8月24~26日で、自社小売部門も参加対象となる。

制度との関係(編集上の整理)
ベース・ミドル、受渡年度、エリア、燃調の有無をそろえて比較します。市場流動性は自社の約定量を保証しません。

事業上の確認点
小売電気事業者は、単年度の相対契約より長い価格・数量ヘッジを確保できる一方、4年間の需要変動と市場価格の下振れを負う。応札時はJEPX調達との比較に加え、信用要件、ベースロード形状、需要離脱時の余剰処分まで織り込む必要がある。

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関連事例をすべて見る(5件)
掲載 2026-08-04|発表内容は本文・原典で確認

中長期取引市場、5GW以上の大規模電源に販売量10%拠出案

資源エネルギー庁の中長期取引市場検討会は、保有電源が5GW以上の事業者に販売量の10%を新市場へ供出させる案を示した。旧一般電気事業者、JERA、J-POWERなどが候補となり、買い手が受渡エリアを選べる設計も検討している。

制度との関係(編集上の整理)
ベース・ミドル、受渡年度、エリア、燃調の有無をそろえて比較します。市場流動性は自社の約定量を保証しません。

事業上の確認点
制度化されれば、新電力の複数年調達機会と大規模発電者の販売ポートフォリオが変わる。供出義務の対象、価格形成、受渡エリア、インバランス責任は未確定であり、相対契約や先渡し市場との代替・補完関係を追う必要がある。

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掲載 2026-07-11|発表内容は本文・原典で確認

関西電力、既設原子力・水力を使う法人PPAの相談受付を開始

関西電力は、既存の原子力・水力発電所から電気と環境価値を長期供給するオフサイト型コーポレートPPAの相談窓口を設けた。同社は、原子力由来の電気を物理的に供給する国内初の枠組みとして提案している。

制度との関係(編集上の整理)
ベース・ミドル、受渡年度、エリア、燃調の有無をそろえて比較します。市場流動性は自社の約定量を保証しません。

事業上の確認点
大口需要家には天候変動の小さい脱炭素電力を長期確保する選択肢が増える。契約設計では停止・出力低下時の代替電源、環境価値の帰属、価格改定、既設電源に関する追加性の説明を明確にする必要がある。

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データから見る背景

研究から得られる補助線

政府委託調査/海外制度比較|公表 2026-08-24| 対象年度 令和7年度

諸外国の電気事業制度から市場設計を比較する

研究が示すこと(掲載済み要約)
この報告書は、エネルギーと予備力を同時に扱う市場について、入札、電源起動、価格算定、追加費用、混雑、市場支配力の処理を分解し、米国の複数市場を比較しています。あわせて、中長期取引、供給力確保、計量など周辺制度も整理しています。

この制度で考える問い
海外制度のどの前提が自社の調達・需給運用に近く、どこは日本固有の制約で読み替える必要があるか。

前提・限界
本カードは報告書の調査範囲を紹介するもので、本文中の個別制度、数値、評価、提言を網羅しません。委託調査は政府の決定や公式見解そのものではありません。

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改革の目的と検証、第7次エネルギー基本計画、組織の経済学を参照した政策・制度レビューです。|公表 2026-01-16|

電力システム改革を需要増と投資回収から振り返る

研究が示すこと(掲載済み要約)
DX・GXによる需要増加を前提に、脱炭素電源、LNG火力、系統、蓄電池・DR、資金調達を整合的に設計する必要性を示し、再エネと原子力を二者択一にしない視点を置いています。

この制度で考える問い
需要増加シナリオに対して、電源・系統・調整力の投資と回収手段を同じ時間軸で置けているか。

前提・限界
短い講演資料で、独自の定量分析や因果検証を提示する研究論文ではありません。制度提案は登壇者個人の整理で、学会やシンポジウムの総意ではありません。

著者・原典・実務との接点 →
関連する研究をすべて見る(4件)
改革検証、国内外の需要・政策動向、第7次エネルギー基本計画、再エネ・原子力・系統投資を整理した政策説明資料です。|公表 2026-01-16|

次世代電力システムを供給・市場・投資で再設計する

研究が示すこと(掲載済み要約)
広域運用や料金メニューの多様化が進んだ一方、燃料価格高騰、火力休廃止、需給ひっ迫、小売退出などが課題と整理されています。データセンター等の需要増加を踏まえ、脱炭素電源、系統、取引市場と事業予見性を次の論点に置いています。

この制度で考える問い
需要増に対する電源・系統投資と、小売の価格・供給能力を一つの事業計画で整合させられるか。

前提・限界
政策説明資料で、査読研究や独立評価ではありません。将来方針を含むため、施行済み制度、政府の検討事項、登壇時点の説明を分けて確認する必要があります。

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ヒアリングと企業資料等による定性的な事例比較。EDF・E.ONの取引方針と、E.ON・EnBWの組織・リスク管理を中心に整理する。総ヒアリング数・実施日は未確認で、本文の3社を総標本数とは扱わない。|公表 2015-10|基礎研究

取引権限と損失限度を、報告体制と合わせて決める

研究が示すこと(掲載済み要約)
欧州事業者の事例では、営業と調達が顧客の需要形状と先物で残るリスクを値決めに反映していた。取引執行・リスク管理・事務処理を分離し、取引目的別の管理と損失限度、日々の損益・リスクの報告を組み合わせていた。

この制度で考える問い
営業の需要見込みと調達・残余リスクの担当、取引権限・損失限度・報告を一体で点検する基礎事例です。2015年の欧州事例で、日本の中長期市場の参加規則や制度効果、最適なヘッジ比率を示しません。

前提・限界
2015年公表の欧州事例で、総ヒアリング数と実施日は開示を確認できない。組織や手法の優劣、利益改善の因果効果を検証した研究ではない。詳しい組織・リスク管理の説明は発電側が中心で、数量リスクの詳しい検討も今後の課題に残る。

著者・原典・実務との接点 →
この制度に関する研究一覧 →
当サイトの解釈・検討する問い

供出義務案と購入・信用条件を分けて判断する

売り手の供出量を自社の調達可能量として計上せず、約定量と未調達量を分けます。価格だけでなく燃調、エリア値差、担保、破綻時の代替費用を比較するのが実務上の読み方です。

成り立つ条件・限界
第3・4回の詳細設計は事務局案です。500万kWは小売の購入資格ではなく、売り注文の履行は約定保証ではありません。信用補完策や容量収入の控除方法を採用済みとみなしません。

次に確認すること
受渡年度・商品・エリア別の必要量と資金余力に照らし、規則公表後に購入上限、担保、転売、不履行処理を確認する。

解釈の確認日:2026-10-02
この解釈の根拠を確認制度の現在地と一次資料へ戻る
主な審議会・検討会中長期取引市場検討WG(第4回:2026年9月16日)
直近の確認事項第4回事務局案(2026年9月16日)/制度設計WG政府回答No.103〜129を照合
今回の変化売り手の供出義務案と小売の購入条件を分離。提出意見・政府回答に基づき価格監視、信用、転売、固定費調整を追加

一次資料

本ページは公開された一次資料を実務向けに整理したもので、法的助言ではありません。対応時は最新の法令・告示・ガイドライン・公式資料をご確認ください。