30秒で分かる現在の結論9月14日の第25回で、第1フェーズの技術研究について、年度末までに一定結果を示す前提のシミュレーションを実施しない方針が示されました。準備後に実行できる期間が約1か月と見込まれ、実現性確認には不十分と判断されたためです。
分かっていること
- 検討中の同時市場はkWhとΔkWを同時に約定し、電源の費用・運転・系統制約を考慮する仕組み
- 第一フェーズの研究対象には電源の起動停止・出力配分の計算と、日本の計画制度との整合が含まれる
- 第25回では年度末の結果提示を前提とするシミュレーションを見送る方針。制度の導入中止を意味しない
まだ決まっていないこと・個別に確認すること
- 同時市場の導入日・運営主体の最終決定・移行工程
- 参加義務、入札・計画変更・精算、蓄電池の扱い等の最終仕様
- 第25回後の技術研究の確定工程と検証結果
同時に約定すると、事業者の判断はどう変わるか
現在は電力と調整力を別々に確保するため、同じ電源の余力をどちらへ配分するかが課題になります。同時市場は起動費、最低出力費用、増分費用や系統制約を考慮して配分する構想です。市場が自動で全ての個社リスクを引き受けるという意味ではありません。
当サイトの実務上の解釈として、小売は需要予測の更新が入札と計画へどう伝わるか、発電は申告する制約が契約・実機と一致するかを点検する必要があります。収入は各市場の現在の最高単価を足すだけでは評価できず、同じ時間帯に供出できる量の制約を反映します。
なぜ技術研究に時間がかかるのか
3月の委託仕様は、SCUC(電源の起動停止の最適化)とSCED(出力配分の最適化)で、必要な解を運用に間に合う時間で算出できるかを研究目標としています。週間・前日・時間前・直前の処理をつなぐ際、揚水・蓄電池、買い入札、自己計画と市場計画の変更等の扱いが研究対象です。これは既に確定した会員向け運用仕様ではありません。
パブコメの早期導入要望は決定になったか
2026年3月13日公表の制度検討作業部会「第二十三次中間とりまとめ」の意見回答には、同時市場の早期導入や広い参加義務を求める意見があります。政府の回答は第二次中間取りまとめを踏まえ詳細検討を進めるという内容で、要望に書かれた時期・義務がそのまま採用されたものではありません。
現行の需給調整市場の上限価格改定やJEPXの時間前システム更改は、既に対応期限のある別の変更です。同時市場の工程見直しを理由に、それらの実装・運用確認を先延ばしにはできません。
小売が今やること
- 需要予測、買い入札、計画提出、実需給、精算を同一受渡時刻で結び、委託先との責任を確認する
- 起動費・最低出力・増分費用・運転制約を、追跡可能なデータとして整理する
- 蓄電池では残量と充放電制約、kWh販売とΔkW確保の競合を同時に評価する
- 導入時期や未確定の清算ルールを投資の確定前提にせず、現行制度と将来シナリオを分ける
議論の経緯
- 2025年10月15日:第二次中間取りまとめで検討中の市場全体像を提示
- 2026年3月:広域機関が詳細業務設計・技術研究の委託仕様を公表
- 2026年3月13日:制度検討作業部会「第二十三次中間とりまとめ」の意見回答:同時市場の早期導入要望に対し詳細検討継続と回答
- 2026年9月14日:第25回で技術研究の方針を見直し。後続の工程・検証結果を引き続き確認する